ケーススタディCASE STUDY

医師国家試験の臨床問題形式17症例で、解説があります。

CASE10FFPの適正使用

<症例提示>

68歳 男性
主訴:健診で異常を指摘
既往歴・家族歴に特記すべきことなし

<臨床経過>

特に自覚症状はなかったが、健康診断で上部消化管に異常を指摘 されたため内科を受診。上部消化管内視鏡検査にて早期胃がんと診 断され、手術目的で入院となった。術式は胃亜全摘を予定している。
血液検査では、白血球 7,400、Hb 12.1g/dL、血小板 22万。プロトロ ンビン時間正常。患者の血液型はB型、Rh陽性。不規則抗体はない。
主治医は赤血球液4単位、新鮮凍結血漿(FFP)4単位をオーダした。

<学習課題1>

新鮮凍結血漿の適応を考え、輸血部門としてはどう対処すればよいか?
  • ① 循環血液量を増やす必要があるため、新鮮凍結血漿の良い適応と考えられる。
  • ② このままオーダ通りの血液を準備する。
  • ③ 患者は不規則抗体を保有しておらず、予測出血量も少ないため、タイプアンドスクリーン (T&S)の良い適応と考えられる。事前に主治に連絡し、T&Sで赤血球液を依頼するよう相談する。
  • ④ 本症例では、FFP使用の明らかな適応がないため、主治医と議論し、赤血球液のみの依頼に変更するよう相談する。
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      <学習課題1>

      新鮮凍結血漿の適応を考え、輸血部門としてはどう対処すればよいか?
      • ① 循環血液量を増やす必要があるため、新鮮凍結血漿の良い適応と考えられる。
      • ② このままオーダ通りの血液を準備する。
      • ③ 患者は不規則抗体を保有しておらず、予測出血量も少ないため、タイプアンドスクリーン (T&S)の良い適応と考えられる。事前に主治に連絡し、T&Sで赤血球液を依頼するよう相談する。
      • ④ 本症例では、FFP使用の明らかな適応がないため、主治医と議論し、赤血球液のみの依頼に変更するよう相談する。
      <解答と解説>

      解答③

      ① FFPの投与は、血漿因子の欠乏による病態の改善を目的とし、特に凝固因子を補充することにより、出血の予防や止血の促進効果をもたらすことにある。循環血液量を増加させる目的では認められない。
      ② したがって、手術の際にFFPが必要となるのは、循環血液量を超え る程度の大量出血をきたし、大量輸血による希釈性凝固障害が起きた場合であり、それ以下の出血では通常FFPは必要とはならない。
      ③ FFPの適応以前に、本症例ではそもそも出血のリスクが低く、赤血球輸血が必要となる可能性は低いと思われ、不規則抗体も保有していないことから、Type & Screen (T&S)で対応可能と思われる。
      ④ ある程度出血の可能性がある手術の場合は、赤血球製剤だけの準備で手術に臨む。

<学習課題2>

そのほかにFFPの適応となるのはどれか?
  • ① PTがINR 1.8、35%に低下した。
  • ② 播種性血管内凝固(DIC)になりフィブリノーゲンが160mg/dLまで低下した。
  • ③ 高齢者の傷の治りを促進する目的。
  • ④ 第V因子欠乏症患者が出血症状をきたした。
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      <学習課題2>

      そのほかにFFPの適応となるのはどれか?
      • ① PTがINR 1.8、35%に低下した。
      • ② 播種性血管内凝固(DIC)になりフィブリノーゲンが160mg/dLまで低下した。
      • ③ 高齢者の傷の治りを促進する目的。
      • ④ 第V因子欠乏症患者が出血症状をきたした。
      <解答と解説>

      解答④

      FFPの適応は、肝障害、L-アスパラキナーゼ投与関連、播種性血管内凝固(DIC)、大量輸血時、濃縮製剤のない凝固因子欠乏症、クマリン系薬剤(ワルファリンなど)の効果の緊急補正などで、PTおよび/またはAPTTが延長している(1PTは (i)INR 2.0以上、(ii)30%以下/2APTTは(i)各医療機関の基準値上限の2倍以上、(ii) 25%以下とする)場合や、DICやL-アスパラキナーゼ投与後の低フィブリノゲン血症(150mg/dL以下)、血漿因子が必要となる血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)など であり、循環血漿量減少の改善と補充、蛋白質源としての栄養補給、創傷治癒の促進、末期患者への投与などは不適切な使用とされる。

      ① INR2.0以上、30%以下が目安である。
      ② FFP投与のトリガーとなるフィブリノゲン値は150mg/dL以下である。
      ③ FFPの投与により創傷治癒が促進されるという医学的根拠はない。
      ④ 第V因子は濃縮製剤がないので、出血時などはFFPで補給する。