ケーススタディCASE STUDY

医師国家試験の臨床問題形式17症例で、解説があります。

CASE12TRALI

<症例提示>

50歳男性
主訴:特になし
既往歴:家族歴に特記すべきことなし

<臨床経過>

骨髄異形成症候群の患者で血小板減少に伴う出血傾向が出現したため、濃厚血小板10単位を輸血した。約1時間で順調に血小板輸血を終了し、ベッドで横になっていると咳が出現し、徐々に呼 吸がしにくくなってきた。ベッドサイドで計測した経皮的酸素飽和度は88%であり、鼻カニューラにて酸素投与2L/分を開始した。その後も呼吸困難が著しくなり、頻呼吸、意識混濁もみられた。

<学習課題1>

呼吸困難の原因を鑑別するうえで必要な検査は?
  • ① 血液ガス分析を行う
  • ② 胸部レントゲン写真を撮影する
  • ③ 呼吸機能検査を行う
  • ④ 血小板数を調べる
    • 解答と解説を見る

      <学習課題1>

      呼吸困難の原因を鑑別するうえで必要な検査は?
      • ① 血液ガス分析を行う
      • ② 胸部レントゲン写真を撮影する
      • ③ 呼吸機能検査を行う
      • ④ 血小板数を調べる
      <解答と解説>

      解答②

      時間的経過からしてアレルギー性の輸血副作用の可能性は低い。心不全を起こす可能性は低いが、胸部レントゲン上での心拡大の有無はチェックしておく必要がある。
      時間的経過から考えると、輸血関連急性肺障害(Transfusion related acute lung injury, TRALI)の可能性があるので、胸部レントゲンの撮影で両側の浸潤影が認められるかどうかは確認すべきである。また、輸血関連循環過負荷(Transfusion associated circulatory overload, TACO) も鑑別しなければならない。血液ガス検査はもちろん必要だが、鑑別診断にはあまり役立たない。呼吸機能検査が出来るような状況ではない。また、血小板数は減少する場合もあるが鑑別には役立たない。

<学習課題2>

TRALIが強く疑われた場合、次に優先すべき対応は何か?
  • ① 胸部CT撮影
  • ② 輸血したバッグの細菌汚染確認のための培養検査
  • ③ 呼吸管理の出来る場所への搬送
  • ④ ステロイド吸入を行う
    • 解答と解説を見る

      <学習課題2>

      TRALIが強く疑われた場合、次に優先すべき対応は何か?
      • ① 胸部CT撮影
      • ② 輸血したバッグの細菌汚染確認のための培養検査
      • ③ 呼吸管理の出来る場所への搬送
      • ④ ステロイド吸入を行う
      <解答と解説>

      解答③

      輸血関連急性肺障害を起こした場合、呼吸状態が急激に悪くなる可能性があり、この症例の場合も、すぐにICUなど呼吸管 理の出来る場所への搬送が必要である。胸部CTの撮影は状態が落ち着いてからでもよい。細菌汚染の検査は必要ではあるが、 緊急の処置ではない。ステロイド吸入は喘息の管理のための治療であり、この場合は全く適さない。また、TRALI治療にステ ロイドの有効性は確認されておらず、TACOの場合は、利尿剤などの投与が行われる。

<学習課題3>

この症例について、TRALIであった可能性を支持するため、 追加すべき検査は?
  • ① 胸部のMRIを撮影する
  • ② ドナーの血液検体でHLA抗体の検査を行う
  • ③ PR3-ANCA、MPO-ANCA抗体を検査する
  • ④ 鼻汁中の好酸球の有無を検査する
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      <学習課題2>

      この症例について、TRALIであった可能性を支持するため、 追加すべき検査は?
      • ① 胸部のMRIを撮影する
      • ② ドナーの血液検体でHLA抗体の検査を行う
      • ③ PR3-ANCA、MPO-ANCA抗体を検査する
      • ④ 鼻汁中の好酸球の有無を検査する
      <解答と解説>

      解答②

      ① MRIは必要ない。
      ② 輸血関連急性肺障害では輸血された血液中のHLA抗体などの白血球抗体が原因となっていることが多いのでその検査を行う。患者白血球とのクロスマッチを行いincompatibilityについても検査する。
      ③ 無関係
      ④ 無関係